百人一首の歌人一覧、百人一首の歌人一覧表
| 歌人 |
上の句 |
下の句 |
| 三条天皇|三条院 |
心にも あらで憂き夜に 長らへば |
恋しかるべき 夜半の月かな |
| 九条良経|後京極摂政前太政大臣 |
きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに |
衣かたしき ひとりかも寝む |
| 二条院讃岐 |
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の |
人こそ知らね かわく間もなし |
| 伊勢 |
難波潟 短き蘆の ふしの間も |
逢はでこの世を 過ぐしてよとや |
| 伊勢大輔 |
いにしへの 奈良の都の 八重桜 |
けふ九重に にほひぬるかな |
| 俊恵|俊恵法師 |
夜もすがら 物思ふころは 明けやらで |
閨のひまさへ つれなかりけり |
| 元良親王 |
わびぬれば 今はたおなじ 難波なる |
みをつくしても 逢はむとぞ思ふ |
| 光孝天皇 |
君がため 春の野に出でて 若菜摘む |
わが衣手に 雪は降りつつ |
| 凡河内躬恒 |
心あてに 折らばや折らむ 初霜の |
置きまどはせる 白菊の花 |
| 右近 |
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし |
人の命の 惜しくもあるかな |
| 周防内侍 |
春の夜の 夢ばかりなる 手枕に |
かひなく立たむ 名こそをしけれ |
| 和泉式部 |
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に |
いまひとたびの 逢ふこともがな |
| 喜撰|喜撰法師 |
わが庵は 都の辰巳 しかぞ住む |
世をうぢ山と 人はいふなり |
| 在原業平|在原業平朝臣 |
ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 |
からくれなゐに 水くくるとは |
| 在原行平|中納言行平 |
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる |
まつとし聞かば 今帰り来む |
| 坂上是則 |
朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに |
吉野の里に 降れる白雪 |
| 壬生忠岑 |
有明の つれなく見えし 別れより |
暁ばかり 憂きものはなし |
| 壬生忠見 |
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり |
人知れずこそ 思ひそめしか |
| 大中臣能宣|大中臣能宣朝臣 |
御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え |
昼は消えつつ ものをこそ思へ |
| 大伴家持|中納言家持 |
鵲の 渡せる橋に 置く霜の |
白きを見れば 夜ぞ更けにける |
| 大弐三位 |
有馬山 猪名の笹原 風吹けば |
いでそよ人を 忘れやはする |
| 大江匡房|権中納言匡房 |
高砂の 尾の上の桜 咲きにけり |
外山の霞 立たずもあらなむ |
| 大江千里 |
月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ |
わが身一つの 秋にはあらねど |
| 天智天皇 |
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ |
わが衣手は 露にぬれつつ |
| 寂蓮|寂蓮法師 |
村雨の 露もまだ干ぬ 真木の葉に |
霧立ちのぼる 秋の夕暮れ |
| 小式部内侍 |
大江山 いく野の道の 遠ければ |
まだふみも見ず 天の橋立 |
| 小野小町 |
花の色は 移りにけりな いたづらに |
わが身世にふる ながめせしまに |
| 小野篁|参議篁 |
わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと |
人には告げよ 海人の釣船 |
| 山部赤人 |
田子の浦に うち出でて見れば 白妙の |
富士の高嶺に 雪は降りつつ |
| 崇徳天皇|崇徳院 |
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の |
われても末に 逢はむとぞ思ふ |
| 平兼盛 |
しのぶれど 色に出でにけり わが恋は |
ものや思ふと 人の問ふまで |
| 式子内親王 |
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば |
忍ぶることの 弱りもぞする |
| 待賢門院堀河 |
長からむ 心も知らず 黒髪の |
乱れて今朝は 物をこそ思へ |
| 後鳥羽天皇|後鳥羽院 |
人も惜し 人も恨めし あぢきなく |
世を思ふゆゑに 物思ふ身は |
| 徳大寺実定|後徳大寺左大臣 |
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば |
ただ有明の 月ぞ残れる |
| 恵慶|恵慶法師 |
八重むぐら しげれる宿の さびしきに |
人こそ見えね 秋は来にけり |
| 慈円|前大僧正慈円 |
おほけなく 憂き世の民に おほふかな |
わが立つ杣に 墨染の袖 |
| 持統天皇 |
春過ぎて 夏来にけらし 白妙の |
衣干すてふ 天の香具山 |
| 文屋康秀 |
吹くからに 秋の草木の しをるれば |
むべ山風を 嵐といふらむ |
| 文屋朝康 |
白露に 風の吹きしく 秋の野は |
つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける |
| 春道列樹 |
山川に 風のかけたる しがらみは |
流れもあへぬ 紅葉なりけり |
| 曽禰好忠 |
由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え |
ゆくへも知らぬ 恋のみちかな |
| 柿本人麻呂 |
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の |
ながながし夜を ひとりかも寝む |
| 殷富門院大輔 |
見せばやな 雄島の海人の 袖だにも |
濡れにぞ濡れし 色は変はらず |
| 清原元輔 |
契りきな かたみに袖を しぼりつつ |
末の松山 波越さじとは |
| 清原深養父 |
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを |
雲のいづこに 月宿るらむ |
| 清少納言 |
夜をこめて 鳥の空音は 謀るとも |
よに逢坂の 関はゆるさじ |
| 源俊頼|源俊頼朝臣 |
憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ |
激しかれとは 祈らぬものを |
| 源兼昌 |
淡路島 通ふ千鳥の 鳴く声に |
幾夜寝覚めぬ 須磨の関守 |
| 源宗于|源宗于朝臣 |
山里は 冬ぞ寂しさ まさりける |
人目も草も かれぬと思へば |
| 源実朝|鎌倉右大臣 |
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ |
海人の小舟の 綱手かなしも |
| 源等|参議等 |
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど |
あまりてなどか 人の恋しき |
| 源経信|大納言経信 |
夕されば 門田の稲葉 訪れて |
蘆のまろ屋に 秋風ぞ吹く |
| 源融|河原左大臣 |
陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに |
乱れそめにし われならなくに |
| 源重之 |
風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ |
くだけてものを 思ふころかな |
| 猿丸大夫 |
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の |
声聞く時ぞ 秋は悲しき |
| 皇嘉門院別当 |
難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ |
身を尽くしてや 恋ひわたるべき |
| 相模 |
恨みわび ほさぬ袖だに あるものを |
恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ |
| 祐子内親王家紀伊 |
音に聞く 高師の浜の あだ波は |
かけじや袖の ぬれもこそすれ |
| 紀友則 |
ひさかたの 光のどけき 春の日に |
静心なく 花の散るらむ |
| 紀貫之 |
人はいさ 心も知らず ふるさとは |
花ぞ昔の 香に匂ひける |
| 素性|素性法師 |
今来むと 言ひしばかりに 長月の |
有明の月を 待ち出でつるかな |
| 紫式部 |
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に |
雲がくれにし 夜半の月かな |
| 能因|能因法師 |
嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は |
竜田の川の 錦なりけり |
| 良暹|良暹法師 |
寂しさに 宿を立ち出でて ながむれば |
いづこも同じ 秋の夕暮れ |
| 菅原道真|菅家 |
このたびは ぬさも取りあへず 手向山 |
紅葉の錦 神のまにまに |
| 藤原伊尹|謙徳公 |
あはれとも いふべき人は 思ほえで |
身のいたづらに なりぬべきかな |
| 藤原俊成|皇太后宮大夫俊成 |
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る |
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる |
| 藤原公任|大納言公任 |
滝の音は 絶えて久しく なりぬれど |
名こそ流れて なほ聞こえけれ |
| 藤原兼輔|中納言兼輔 |
みかの原 わきて流るる 泉川 |
いつ見きとてか 恋しかるらむ |
| 藤原基俊 |
契りおきし させもが露を 命にて |
あはれ今年の 秋もいぬめり |
| 藤原定家|権中納言定家 |
来ぬ人を 松帆の浦の 夕なぎに |
焼くや藻塩の 身もこがれつつ |
| 藤原定方|三条右大臣 |
名にし負はば 逢坂山の さねかづら |
人に知られで 来るよしもがな |
| 藤原定頼|権中納言定頼 |
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに |
あらはれわたる 瀬々の網代木 |
| 藤原実方|藤原実方朝臣 |
かくとだに えやは伊吹の さしも草 |
さしも知らじな 燃ゆる思ひを |
| 藤原家隆 (従二位)|従二位家隆 |
風そよぐ 楢の小川の 夕暮は |
御禊ぞ夏の しるしなりける |
| 藤原忠平|貞信公 |
小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば |
今ひとたびの みゆき待たなむ |
| 藤原忠通|法性寺入道前関白太政大臣 |
わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの |
雲居にまがふ 沖つ白波 |
| 藤原敏行|藤原敏行朝臣 |
住の江の 岸に寄る波 よるさへや |
夢の通ひ路 人目よくらむ |
| 藤原敦忠|権中納言敦忠 |
逢ひ見ての のちの心に くらぶれば |
昔はものを 思はざりけり |
| 藤原敦頼|道因法師 |
思ひわび さても命は あるものを |
憂きに堪へぬは 涙なりけり |
| 藤原朝忠|中納言朝忠 |
逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに |
人をも身をも 恨みざらまし |
| 藤原清輔|藤原清輔朝臣 |
長らへば またこのごろや しのばれむ |
憂しと見し世ぞ 今は恋しき |
| 藤原義孝 |
君がため 惜しからざりし 命さへ |
長くもがなと 思ひけるかな |
| 藤原興風 |
誰をかも 知る人にせむ 高砂の |
松も昔の 友ならなくに |
| 藤原道信|藤原道信朝臣 |
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら |
なほうらめしき 朝ぼらけかな |
| 藤原道綱母|右大将道綱母 |
嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は |
いかに久しき ものとかは知る |
| 藤原道雅|左京大夫道雅 |
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを |
人づてならで いふよしもがな |
| 藤原顕輔|左京大夫顕輔 |
秋風に たなびく雲の 絶え間より |
漏れ出づる月の 影のさやけさ |
| 蝉丸 |
これやこの 行くも帰るも別れては |
知るも知らぬも 逢坂の関 |
| 行尊|大僧正行尊 |
もろともに あはれと思へ 山桜 |
花よりほかに 知る人もなし |
| 西園寺公経|入道前太政大臣 |
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで |
ふりゆくものは わが身なりけり |
| 西行|西行法師 |
嘆けとて 月やは物を 思はする |
かこち顔なる わが涙かな |
| 赤染衛門 |
やすらはで 寝なましものを さ夜更けて |
傾くまでの 月を見しかな |
| 遍昭|僧正遍昭 |
天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ |
乙女の姿 しばしとどめむ |
| 阿倍仲麻呂 |
天の原 ふりさけ見れば 春日なる |
三笠の山に 出でし月かも |
| 陽成天皇|陽成院 |
筑波嶺の 峰より落つる 男女川 |
恋ぞ積もりて 淵となりぬる |
| 順徳天皇|順徳院 |
百敷や 古き軒端の しのぶにも |
なほ余りある 昔なりけり |
| 飛鳥井雅経|参議雅経 |
み吉野の 山の秋風 さよ更けて |
ふるさと寒く 衣打つなり |
| 高階貴子|儀同三司母 |
忘れじの ゆく末までは かたければ |
今日を限りの 命ともがな |
